詞乃端のオススメ本感想書き殴り+α

オススメ本の感想を書き殴りたい+宣伝したいの精神で作ってみたブログ。気が向けば他の事も書く予定。

宝くじを買ったので(+αな雑記)

ブログをはじめて、早一か月が過ぎたので、オススメ本以外の+αも書いてみようかなと筆をった次第。

 

タイトル通りですが、年末ジャンボ宝くじ買いました~。

 

年末ジャンボと年末ジャンボミニを、一枚づつ。

 

自分は趣味で宝くじ(普通くじ)を買っているのですが、ジャンボでも百円くじでも二百円くじでも毎回買うのは一枚だけ。

 

なぜなら、数学的に期待値が一番高いのは、宝くじを一枚だけ買った時だからっ!!

(ど~ん)

 

まあ、お世話になった高校の数学の先生の受け売りを真に受けて、そのままそうしているだけですが。

本になるべくお金を回したいので、自分はちょっとお高いお菓子の代わりに、『当たればいいな』の夢を購入しておりました。

 

しかしながら、低額当選時の嬉しさは、宝くじを一枚だけ買った時が最大だと思います。

三百円のくじを一枚買って、三百円が当たったら、元が取れて嬉しいですよ!!

だって、三百円のくじを十枚買って、三百円当たっても、二千七百円は損なのでいまいち喜びづらい

なので、ジャンボで一等前後賞狙うなら、連番で三枚買えばいいやんって、思っちゃいますね。

宝くじ連番三枚で、一等前後賞が当たる可能性だけは買えますぜ。

連番十枚よりも、二千百円お得です。

(*年末ジャンボの場合)

 

ただ、年末ジャンボをド~ンと買って、ドカーンと高額当選する方もいらっしゃるようなので、宝くじは自分が納得できる買い方で買えばいいと思います。

ぶっちゃけ自分、高額当選したことないし。

(爆)

 

ちなみに、今までの宝くじ当選金の最高額は、二百円くじ一枚買ってでの五千円。

二百円くじが現金五千円に化けるのは、なかなか美味しいです。

でもすぐに本買って溶かしました。

ラノベって単行本だと、千円超えちゃいますし。

ただし、当たらない宝くじも当然あるので、トータル的には、現時点でちょっぴりプラス。

これからの運次第では、赤字に転落する可能性もありそうでござる。

でも、趣味は趣味なので、赤字になっても、当たればいいな~と思いつつ、宝くじ一枚買ってく予定です。

 

そして、もし高額当選したら、豪華客船の新車買えるグレードで旅をしたいし、四季風で旅行したいし、サグラダファミリアとかウユニ塩湖を見に行きたいし、ルーブル美術館も見て回りたい。

あと、牡蛎かき小屋に挑戦したいし、うっすいふぐの刺身をが~っとまとめて食べてみたいし、大阪食い倒れもやってみたいし、高級なお店の料理も食べてみたい。

……〇億円当たったら、の夢は広がるばかりですが、まだまだ夢のままである。

 

それから、宝くじちょくちょく買うよ~という方や、ジャンボくじ爆買いする方には、宝くじ公式サイトの会員登録がおすすめです。

 

www.takarakuji-official.jp

 

宝くじ公式サイトの会員登録をすると、宝くじをネットで購入できたりしますが、それよりも、宝くじポイントが地味に貯まるのです。

宝くじポイントは宝くじの購入にしか使えませんが、百円で1Pなので、年末ジャンボを百枚買ったら、宝くじポイントでもう一枚買えますよ!

ただ、宝くじ売り場で宝くじポイントを貯めるには、前もって宝くじポイントカードを申請しておく必要がありますし、有効期限が翌々年度末までなので、その辺りはご注意を。

また、宝くじ公式サイトでは、宝くじの発売スケジュールが分かるので、宝くじ買い忘れの防止に便利でした。

 

でも、正直、宝くじのネット購入については、宝くじ公式サイトで利用可能なキャリアでもなく、利用可能なクレジットカードを持ってもいなかったので、自分としてはドンマイな感じです。

 

 

 

――年末ジャンボ、当たればいいな~。

(できれば高額当選希望)

アクタージュ act-age(既刊八巻)/原作マツキタツヤ・漫画宇佐崎しろ

アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

あらすじ

女優を目指す女子高生・夜凪よなぎは、有名芸能スターズのオーディションに不合格するも、映画監督・黒川にその才能を買われ、役者の世界に足を踏み入れることになる。

 

無自覚に身に着けていた、自らの過去を追体験する演技法・「メゾット演技」を武器に、夜凪は、女優として成長していき――。

 

感想

最近押しのマンガ本!!

 

「アクタージュ act-age」(以下「アクタージュ」)女優を目指す女子高生・夜凪が主人公の漫画。

当初は、演技に没入しすぎて暴走したり、周囲から孤立して人間味が薄かったりした彼女が、演じる役や共演者との関わりを通して成長していく姿がツボ。

 

夜凪さん、なかなか複雑な家庭で、現在弟妹との三人暮らし。

彼女が体得している「メゾット演技」は、現実逃避の産物であり、役者としての得難い才能であると同時に、現実と芝居の境界が曖昧あいまいになる危うさをはらんでいる。

そして、夜凪は初め、自らの過去を追体験する「メゾット演技」ゆえに、自分が体験したことしか演じられない。

そんな彼女が、黒川監督などからの助言を受けながら演技の幅を広げていくところが、「アクタージュ」の見どころの一つです。

 

夜凪さんは、一見クールっぽい天然さんですが、黒川監督とのやり取りは、年相応な元気さなのでその辺りも好きですね。

「アクタージュ」七巻での、学校生活の中で友達を作ったり、役者にならなかった自分について考えたりするエピソードも良い。

夜凪さんの私服の残念感も割とツボです。

服装的な女子力、若手のトップ女優に負けてるよ!!

 

また、主人公の夜凪だけではなく、「アクタージュ」に登場する人々は、それぞれに悩みを抱え、自分なりに答えを見つけていくのでそこもオススメしたいところです。

 

主人公の才能が際立つために、くっきりと浮かび上がった自らの非才に折れず、泥臭どろくさ足掻あがく星アキラ。

天才肌のようでいて、たゆまぬ努力を続けてきた、百城ももしろ千世子ちよこ

――「アクタージュ」三巻において彼女の内心がこぼれ落ちたシーンは、この作品の中で特にグッときた場面である。

夜凪との共演を経て、よき好敵手となった彼女も好きです!

それから、明神みょうじん阿良也あらやの、舞台を通した恩師との別れも胸にせまる。

 

「アクタージュ」は、夜凪が共演者たちと一緒に作品を作り上げていく過程が、とても魅力的に描かれていると思います。

役者にそれほど興味がなかった自分も楽しめている作品なので、知らない方にも読んでいただきたいです!!

 

 

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました(全八巻)/永瀬さらさ

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)

あらすじ

聖剣の乙女の伝説が残る、エルメイア皇国。

 

公爵家の末娘であるアイリーンは、婚約破棄こんやくはき時に前世の記憶がよみがえり、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと自覚する。

 

――だが、しかし。

前世の記憶が中途半端なせいで、破滅フラグの回避方法が分からないっ!!

 

確実なのは、アイリーンの破滅フラグの原因が、ラスボスの魔王クロードであること。

ならば、アイリーンが魔王の愛を勝ち取れば、問題なし!!

 

かくして、一発逆転を目指し、悪役令嬢は魔王に求婚したり、魔物を助けたり、起業したり――ラスボス飼ったりしちゃいますっ?!

 

感想

なろうで流行りの悪役令嬢系の中では、特に好きなWeb小説の書籍化作品。

永瀬さらさ先生の作品は、現在なろうで連載中の「やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中」も面白いです!!

 

「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」(以下悪ラス)の最大の見どころは、主人公アイリーンのバイタリティーっ!!

だって、婚約破棄された当日の夜に、魔王に求婚するために魔王城に突撃しちゃったのよっ?!

 

アイリーンさん、元々勝気な性格なのが、ドSなお父さんにいじられまくり、折れない心とめげないたくましさを手に入れた模様。

でも、脅迫文きょうはくぶんをまとめて火にくべて、お湯をかすとか、たくましすぎない……?

アイリーンの家族のドートリシュ公爵家、父・ドS宰相だわ、母・元軍人だわ、末娘含めて有能だけどくせが強い!

 

ドSな父から課題を吹っ掛けられても、めそめそせずに、持ち前の行動力と生産した下僕たちの力で、なんとかしようとするアイリーンの姿勢は、好感が持てました。

アイリーンの下僕(男ばっか)たちも、個性的でキャラが良い!

アイリーンや魔王様に、特に振り回されがちな参謀役のアイザック好きです。

ただ、時にあふれる彼女のバイタリティーが暴走し、悪ラス二巻ではアヒル戦隊とかに行きついたりして笑いますね!

どんな苦境でも折れないアイリーンの姿は、最終巻まで一貫していて、主人公らしいです。

女の子だけど、男前!!

でも、アイリーンは、魔王に対して初心うぶで乙女な反応をするときもあるので、その辺りがギャップえだと思います!!!

(親指を立てながら)

 

一方、破滅フラグの回避ため、アイリーンにターゲットにされた魔王・クロードは、エルメイア皇国の第一皇子にして、元婚約者の異母兄。

そして、魔王としての姿が竜で、森羅万象しんらばんしょうを司り、感情が異常気象を引き起こす、喜怒哀楽が分かりやすいけど、迷惑な時もあるおひとである。

また、すごい美形でスペック高くて殺し台詞多いですが、皇子様かつ魔法で横着しているので、お世話係必須ひっす

従者のキースさん、えらい。

 

魔王様はヒーローなはずなのに、アイリーンに助けられることが多いので、ヒロインに見えたりしましたよ……。

(汗)

しかしながら、他の男の手に負えない、アイリーンの暴走をしっかり受け止めていらっしゃったり、何かとアイリーンを泣かせたがったりしているので、やっぱり彼は魔王ですね!

 

そして、魔王様の周りにいる魔物達は、悪魔っぽいベルゼビュートを筆頭に、アイリーンに言いくるめられる良い子です。

(笑顔)

カラスの魔物のアーモンドや、フェンリルのリボンちゃんなど、可愛い子ばかりでした。

世間知らずで、単純な子が多いようでしたが、人間に触れあうようになった彼らも、物語を通じて成長していく描写があり、そこも好きですよ。

魔王様スキスキダンスとか、純粋にクロードをしたっている魔物たちには、ほっこりしますね。

 

そんな可愛いアーモンド君を人質にとって魔王様をおどしたアイリーンさんは、まさしく悪役令嬢だと思います。

 

悪ラス、なろうで定番のヒロインざまぁ! もあるのですが、それだけで終わらないところが魅力です。

アイリーンの婚約破棄のきっかけになった、乙ゲーヒロイン・リリアさん、一巻では存在感が完全にアイリーンに押し負けておりました。

しか~し、ざまぁされたリリアさん、二巻目以降は「プレーヤー」として覚醒かくせいし、最終巻ではがっつりヒロインな大活躍ぶりでした!

悪ラス、世界観の元になった乙女ゲームがシリーズ化しているのですが、シリーズの二・三作目のヒロインも、ざまぁの後に成長して活躍しているのが良い!!

悪役令嬢仲間のレイチェルさん(悪ラス二巻登場)とロクサネ様(悪ラス三巻登場)も好きです。

特にロクサネ様、同じく悪ラス三巻登場の聖王様とのもだもだした関係が萌えました。

 

乙女ゲームの悪役令嬢組もヒロイン組も、何だかんだで、最終的にみんなハッピーエンドであるのが後味良いですね!!

 

――攻略対象?

一部アイリーンの下僕になっていますが、……まあ、それなりに幸せでは???

 

剣もたしなむカッコイイご令嬢が好きな方や、激甘な台詞を吐くヒーロー求む方、がんばる下僕が見たい方にオススメですっ!!

 

追記2020/11/13

八巻&コミカライズ発売中!!

 

辺境の老騎士(全五巻)/支援BIS

辺境の老騎士 1

あらすじ

辺境の〈大障壁ジャン・デッサ・ロー〉の切れ目に位置するパクラ領。

魔獣の侵入を阻む役目を務めるテルシア家に、長年仕えてきた一人の老騎士がいた。

 

老い衰え、己の死期が遠くないことを悟った彼は、主家に引退を願い出、財産を返上して旅に出る。

彼がこの世を去るまでの、珍しい風景と食べ物を味わう気ままな一人旅であったはずだった。

 

――しかし、それはやがて大陸中で語り継がれる、冒険譚ぼうけんたんの幕開けであった。

 

感想

なろうで好きだったWeb小説の書籍化作品。

三巻が発売されてから、四巻が出版されるまで大分間が開いたので、最終巻まで読めて嬉しいです。

でも、本棚スペース開けるために、なんで諦めて一~三巻手放しちゃったかな自分……。

(ガックシ)orz

お気に入りの本は何度も読み返す派なのに、Web版からの加筆が結構ある書籍版を、初めから読み返せなくなりました。

(涙目)

どの巻も見どころがありますが、完結作品を1巻ずつ丁寧に紹介していると、自分の筆の遅さのせいで新作の紹介に手が回らなくなるので、ざっくりな紹介です。

(汗)

 

まず、「辺境の老騎士」は、精霊や魔獣、異種族が暮らす、綿密めんみつられた世界観が魅力的。

神々の存在を強く信じるこの世界における『騎士』は、ただの領主や戦争屋ではなく、物語のような主君への忠誠や、民のための存在であることを理想としている。

そして、主人公バルドは、人民に忠誠を奉げると誓った、〈人民の騎士〉である。

そんな彼は、旅の初めから人助けをしていて、誰かを助けていくうちに、国を救い、果ては大陸を救うことにもなる。

バルドが旅の中で出会ったり、助けたりした人物(精霊・異種族も)は、後に意外なところでバルトを手助けしてくれることがあった。

偶然のようでいて、どこかに繋がる旅のえにしは、この物語の好きな部分だ。

 

そして、冒険譚と並ぶ「辺境の老騎士」の見どころは、ズバリ、グルメである。

架空の世界の架空の食べ物なのに、なんでどいつもこいつも美味おいしそうなんだ。

自分も食べたくなったじゃないかっ!!

特に、カムラーさんの料理は、バルドと一緒に毒づきたくなるぐらい美味しそうでした……。

バルドは、騎士の誓いで守るべき徳目を〈食徳〉に選ぶくらいの食いしん坊なせいか、本当に美味しそうに食べるし、グルメレポもすごく美味しそうなのですよ。

 

ただバルドは、単に食い意地が張っているという訳でもない。

 

もし味覚がなくなったら、自分が食べる代わりに、他の誰かが美味しそうに食べているところを見る、というバルドの意見は、彼が食べることを通して、生きることを大事にしていることを示している。

生きることを尊ぶバルドの姿勢は、そのまま彼の魅力であるのだろう。

騎士の理想のように綺麗なものしか目に入れないのではなく、汚さを含めて生きることを受け入れることが可能であるのは、バルドが尊敬できる様な老い方をしてきたからだと思われる。

 

「辺境の老騎士」の最終巻を読み終えて、改めて感じたのは、バルドの愛馬スタボロスとのきずなと、正式に結ばれることがかなわなかった、テルシア家のアイドラ姫への愛情であった。

バルドの彼らへの思いは、一貫して深い。

スタボロスは、旅の間もバルドのかたわらにり続けていたし、アイドラ姫の存在こそが、バルドを誓いだけではない〈人民の騎士〉にしたのだと、よく分かった。

 

ひょうきんなジュルチャガや、豪放磊落ごうほうらいらくなゴドン、後にバルドの養子となるカーズなど、「辺境の老騎士」に登場するのは、それぞれに魅力的なキャラクター達だ。

あまり友好的な遭遇そうぐうの仕方をしなかった人物さえも、信頼できる旅の仲間となったのは、バルドの度量どりょうにもよるのだろう。

 

古き善き騎士の冒険譚が読みたい方にも、グルメ系ファンタジーが読みたい方にも、「辺境の老騎士」はオススメですっ!!

 

あと、支援BIS先生の作品は、「狼は眠らない」も面白いです!

 

 

名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を(全二巻)/ミズノアユム

名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を 1-2巻 新品セット

あらすじ

神秘と魔法と共に生きる、魔導王国ジグローゼス。

科学と機械により隆盛を極める、機械帝国メフィエラ。

 

対極たる二国の、終わりなき百年戦争により、国境地帯の《名前のない荒野ノートフィールド》では、数多の命が無価値に喪われ続けていた。

 

――その戦場に君臨するは、二人の“最強”。

 

魔導王国が開発した究極の召喚魔法をもって、神代の魔獣をひととき顕現けんげんさせる獣騎兵。

最強最古にして最悪の魔獣、《屍喰竜ニーズヘッグ》として戦場を蹂躙じゅうりんする少年・クロト。

 

人の叡智えいちすい、疑似永久機関をたった一機に載せて作り上げられた兵器、輝動鋭機アインダート

機械帝国の究極機を駆るために生み出された姫君・ロア。

 

戦場以外で出会うはずのなかった二人は、互いが宿敵と知らぬまま、邂逅かいこうを果たす。

死者たちの命を背負うクロトと、自らの理想を求めるロア。

相容あいいれぬ二人は、互いが抱く願いと決意を知っていき――。

 

感想

色々ツボったのに、打ち切りになって大ショックだった作品。

(泣)

楽しみに待っていたのに、続刊が歩いてきてくれませんでした……。

(震え声)

でも紹介するよ、自分は大好きだったからっ!!!

(号泣)

 

「名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を」(以下「名もなき竜~」)の見どころは、魔法VS科学のガチバトル!!

 

まず、主人公がドラゴンに変身するんだよっ!

主人公が転身するニーズヘッグ以外にも、色々な幻獣が登場するので、ファンタジー好きの心を大いにくすぐられました!!

二巻では、自分のドラゴン好きのきっかけになった幻獣も登場したので、ものすごくグッときましたね。

(親指を立てながら)

 

そして、SF好きには機械帝国の兵器がオススメ。

ヒロイン・ロアの乗機が、騎士っぽくて格好いい。

 

しかしながら、魔導王国と機械帝国の極みがぶつかり合う戦場は、無残むざんだ。

終わりなき戦争が産んだ憎悪に、囚われる魔導師たち。

魔導師たちの憎悪の巻き添えになり、獣騎兵ための生贄いけにえとして、戦場に投げ込まれた子供たち。

疑似永久機関に支えられた理想国家の影で、無為に死にゆく兵士や、強者に搾取さくしゅされ続ける人々。

 

混沌こんとんとした戦場で、クロトは仲間たちの想いを抱え、ロアは己の夢を見据みすえながら、百年戦争終結を目指していた。

 

そして、戦場では最強戦力である二人も、ただの少年少女であることには変わりない。

クロトは、何だかんだで仲間たちから慕われているし、ロアは、自信満々な態度の割に常識にうとかったり、色々と甘かったりしているところが可愛らしい。

クロトとロアの年相応なやり取りは、なんとも微笑ほほえましく感じます。

また、楽園の残骸ざんがいの町では、クロトとロアの無邪気な様子を見ることができた。

 

クロトもロアも複雑な境遇であるが、それぞれに理解者がいるため、ヘビィーな世界観の中でも重苦しさを感じずにすんでいた。

 

クロトの仲間の中では、腐れ縁のススハラ君、好きです。

軽薄な態度だけれど、色んな意味で頼もしい。

頼りになるのは、アマリネさんもそうですが、彼女はもっと自分に優しくしても良いような。

 

「名もなき竜~」で、一番の救いになったのは、あちこち迂闊うかつであるけれど自信にあふれていて、自分の理想に向かって真っ直ぐに駆けて行く、ロアの在り方だったと思います。

死者たちの想いを背負って戦うクロトは、優しくもあり強くもあるけれど、ひどくあやうく。

対照的な二人は、お互いだから対等であるのかなと感じました。

 

また、物語に登場する在りし日の楽園は、時にものかなしく、時に優しいものでした。

 

「名もなき竜~」、神代の魔獣や、百年戦争の謎にも触れられていたのに、二巻で打ち切りになったのが心底無念……。

(床を叩きながら)

「名もなき竜~」の一巻は、それだけで綺麗に終わっているので、まだ読んでいない方には、一巻だけでも読んでほしいですっ!!!!

(心からの叫び)

 

『白銀の墟 玄の月 ―十二国記―(三)・(四)』/小野不由美

白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)

白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)

あらすじ

こちらの世界と「蝕」と言う現象を通して繋がる、十二の国からなる世界。

その世界では、天から下された霊獣である麒麟きりんが王を選び、王の存在が国の安寧を担う。

 

冬の極寒にさらされる戴国たいこくでは、いまだ、天意を受けた王が玉座に戻っていない。

そして、んだ傀儡くぐつ徘徊はいかいする王宮に帰還した麒麟は、ままならぬ現実にはばまれながらも、民を救うために足掻あがき続ける。

 

一方、主君を探し続ける女将軍は、彼女の王と同じ特徴を持つ男の命が、すでに絶えていたことを知らされる。

 

国は、民は、彼等の行くすえは、――。

 

感想

ようやく読めた、十二国記最新刊の続き!!

 

綿密な伏線ふくせんとどんでん返しの展開、丹念に描かれた人々の境遇と心情は、文庫本四巻分の文章量になるのもうなづける。

何気なく描写され、後から意味を浮かび上がらせるものがいくつもあるので、今作は、何度も読み返す価値があるのだ。

 

一、二巻でとにかくまどわされたが、だからこそ、三、四巻で徐々じょじょに謎が明かされていく過程が、いっそ清々しくもある。

また、「魔性の子」をはじめとする、これまでの物語の欠片があちこちに散りばめられ、一文だけでも感慨かんがい深い。

 

正直、自分はホラーが苦手で、「魔性の子」も、十二国記シリーズの他の作品と同じように楽しめた訳ではないが、「魔性の子」あっての本作だと、強く思った。

慈悲じひの生き物とは言いがたい、したたかな泰麒たいきの言動は、ひとえに蓬莱ほうらいでの一連の出来事が下地となったのである。

作中でも触れられているが、過去があっての今であり、今作を先に読まれた方には、戴国がから十二国記シリーズの物語もぜひ読んで頂きたい。

 

 

また、今作を読み、妖魔や不可思議が跋扈ばっこしていても、十二国記シリーズはあくまで人間の物語であると、より一層感じさせられた。

泰王や女将軍をはじめとした登場人物たちは、立場や思惑おもわくの中で対立していても、完璧かんぺきな正義でも完全な悪でもない。

泰王をおとしいれた新王でさえ、行動した理由は、ひどく人間らしいものだと思われた。

 

選ばれなかったから、転がり落ちたのか。

転がり落ちるから、選ばれなかったのか。

 

十二国記シリーズの世界観の根幹をなす「天意」は、まだ曖昧あいまいで理不尽なものだが、新王の姿に、他作品の登場人物たちが重なる。

そして、並び立つ好敵手との在り方の違いと、誰の味方とも判然としなかった、冬官の長の指摘が、解答であるのだろう。

十二国記シリーズでは、「道」という言葉がたびたび使用されるが、確かに新王は、道を見失っていたのだと思われた。

 

――道と共に、自分を慕う者たちの姿も、また。

 

過去の行いが今に収束していく様には、手に汗握ったが、それゆえに、明暗を分けた、在り方の差異が際立つ。

 

王に対し、民の様子も丹念に描かれているのが今作の特徴だが、民に対する女将軍の言動も印象に残った。

軍人である前に、泰王の臣であることを優先してしまいがちな彼女だが、だからこそ、民の保身を許容する彼女の姿が、心に迫る。

 

民、と一言で言っても、立場や境遇は多彩だ。

誰かを助けようと奮闘する者ばかりでもないし、しいたげられている者誰もが、綺麗きれいな手をしている訳でもない。

無力な彼らが、世界の無情を示すこともあった。

けれど、自分の選択で精一杯生きている彼らが、空虚くうきょな箱庭ではない世界を形作っているのだと、感じられた。

 

とにかく、行間などに想像をかきたてられたので、2020年に刊行予定らしい、書き下ろし短編の発売はまだかと、ゴロゴロしている。

 

 

 

 

 

数字で救う!弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。/長田信織

数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。 (電撃文庫)

あらすじ

諸事情によりフリーター生活を送っていた青年・ナオキは、ひょんなことから異世界へ迷い込む。

そんな彼が、幸運にも出会ったのは、弱小国ファベールの姫・ソアラ

 

好きだった数学を通じ、ナオキはソアラに力(腕力にあらず)を貸すことになる。

 

戦争目前、周辺国は敵だらけ、お姫様はふびんぼっちで詰み気味な状況を、数学と関数電卓でひっくり返すっ?!

 

感想

以前他の本の紹介で触れた作品。

 

魔法無し、異能無し、味方も無しっ?!

頼りになるのは、二人の頭脳と関数電卓な、異世界数学ファンタジー戦記!!

 

数学が重要な要素になっているだけに、冒頭からとあるものを描くための数式が出てきます。

数式単品だと、ぱっと見、難しそうに感じましたが、図入り解説にこれかいなと半笑い。

本物の方がいいの反応もそうですが、わざわざ数式作成してまで描いちゃうのは、ラノベですね……。

数学って何となく面倒くさくて、近寄りがたいイメージでしたが、こんなしょうもないことにも利用できるのだと、数学への見方も変わりました。

(苦笑)

 

『数字で救う!弱小国家』(以下すうすく)は、ナオキとソアラ、両方の視点から展開するお話ですが、どっちも好きになりました。

(真顔)

ナオキの飄々ひょうひょうとしたスタンスも良いですが、ソアラさんのふびんぼっち具合が可愛いです。

(爆)

ちなみに、すうすくの世界観は、剣と銃器で戦争する近世的な世界で、なおかつ周囲は脳筋ばっか。

理論的な思考のソアラさんの理解者が、数学オタクのナオキだけという、なかなかハードな状況です。

ソアラさんのエピソードが、いちいちふびん。

でも可愛い。

 

そして、『いつも綺麗な世界でなくとも、いつか見た美しさが忘れられない』という言葉が、印象的。

 

本作において、ナオキとソアラが、二人で同じ世界を一緒に見るためのツールが、数学なのである。

そして、数学と図入り解説を通じて、読者もまた、ナオキたちと同じ世界を見ることが出来ることも、すうすくの魅力だと思います。

昔学校で習っていた、算数や数学の知識がひょっこり顔を出し、実際に役にたっている光景を見ると、算数も数学も学んだ意味はあるのだなと感じました。

 

数字で戦う戦争に、俺TUEEEの爽快感そうかいかんはありませんが、とにかく戦争の過程が面白い。

主人公の思考が数学的に理解できるところや、生き残りのルールを、数学を使って探すところが、すうすく独特ですね。

ゲーム理論やら第二価格競争制やら、なんだか難しそうなことを分かり易く解説しているので、すうすくを読むと、なんとなく自分の頭が良くなった気分になれました!!

(気分だけ)

 

続刊も面白いので、また感想書きます!

 

 
追記2020/11/13
五巻まで発売中!!