詞乃端のオススメ本感想書き殴り+α

オススメ本の感想を書き殴りたい+宣伝したいの精神で作ってみたブログ。気が向けば他の事も書く予定。

名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を(全二巻)/ミズノアユム

名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を 1-2巻 新品セット

あらすじ

神秘と魔法と共に生きる、魔導王国ジグローゼス。

科学と機械により隆盛を極める、機械帝国メフィエラ。

 

対極たる二国の、終わりなき百年戦争により、国境地帯の《名前のない荒野ノートフィールド》では、数多の命が無価値に喪われ続けていた。

 

――その戦場に君臨するは、二人の“最強”。

 

魔導王国が開発した究極の召喚魔法をもって、神代の魔獣をひととき顕現けんげんさせる獣騎兵。

最強最古にして最悪の魔獣、《屍喰竜ニーズヘッグ》として戦場を蹂躙じゅうりんする少年・クロト。

 

人の叡智えいちすい、疑似永久機関をたった一機に載せて作り上げられた兵器、輝動鋭機アインダート

機械帝国の究極機を駆るために生み出された姫君・ロア。

 

戦場以外で出会うはずのなかった二人は、互いが宿敵と知らぬまま、邂逅かいこうを果たす。

死者たちの命を背負うクロトと、自らの理想を求めるロア。

相容あいいれぬ二人は、互いが抱く願いと決意を知っていき――。

 

感想

色々ツボったのに、打ち切りになって大ショックだった作品。

(泣)

楽しみに待っていたのに、続刊が歩いてきてくれませんでした……。

(震え声)

でも紹介するよ、自分は大好きだったからっ!!!

(号泣)

 

「名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を」(以下「名もなき竜~」)の見どころは、魔法VS科学のガチバトル!!

 

まず、主人公がドラゴンに変身するんだよっ!

主人公が転身するニーズヘッグ以外にも、色々な幻獣が登場するので、ファンタジー好きの心を大いにくすぐられました!!

二巻では、自分のドラゴン好きのきっかけになった幻獣も登場したので、ものすごくグッときましたね。

(親指を立てながら)

 

そして、SF好きには機械帝国の兵器がオススメ。

ヒロイン・ロアの乗機が、騎士っぽくて格好いい。

 

しかしながら、魔導王国と機械帝国の極みがぶつかり合う戦場は、無残むざんだ。

終わりなき戦争が産んだ憎悪に、囚われる魔導師たち。

魔導師たちの憎悪の巻き添えになり、獣騎兵ための生贄いけにえとして、戦場に投げ込まれた子供たち。

疑似永久機関に支えられた理想国家の影で、無為に死にゆく兵士や、強者に搾取さくしゅされ続ける人々。

 

混沌こんとんとした戦場で、クロトは仲間たちの想いを抱え、ロアは己の夢を見据みすえながら、百年戦争終結を目指していた。

 

そして、戦場では最強戦力である二人も、ただの少年少女であることには変わりない。

クロトは、何だかんだで仲間たちから慕われているし、ロアは、自信満々な態度の割に常識にうとかったり、色々と甘かったりしているところが可愛らしい。

クロトとロアの年相応なやり取りは、なんとも微笑ほほえましく感じます。

また、楽園の残骸ざんがいの町では、クロトとロアの無邪気な様子を見ることができた。

 

クロトもロアも複雑な境遇であるが、それぞれに理解者がいるため、ヘビィーな世界観の中でも重苦しさを感じずにすんでいた。

 

クロトの仲間の中では、腐れ縁のススハラ君、好きです。

軽薄な態度だけれど、色んな意味で頼もしい。

頼りになるのは、アマリネさんもそうですが、彼女はもっと自分に優しくしても良いような。

 

「名もなき竜~」で、一番の救いになったのは、あちこち迂闊うかつであるけれど自信にあふれていて、自分の理想に向かって真っ直ぐに駆けて行く、ロアの在り方だったと思います。

死者たちの想いを背負って戦うクロトは、優しくもあり強くもあるけれど、ひどくあやうく。

対照的な二人は、お互いだから対等であるのかなと感じました。

 

また、物語に登場する在りし日の楽園は、時にものかなしく、時に優しいものでした。

 

「名もなき竜~」、神代の魔獣や、百年戦争の謎にも触れられていたのに、二巻で打ち切りになったのが心底無念……。

(床を叩きながら)

「名もなき竜~」の一巻は、それだけで綺麗に終わっているので、まだ読んでいない方には、一巻だけでも読んでほしいですっ!!!!

(心からの叫び)