詞乃端のオススメ本感想書き殴り+α

オススメ本の感想を書き殴りたい+宣伝したいの精神で作ってみたブログ。気が向けば他の事も書く予定。

86―エイティシックス―Ep.2&Ep.3 -ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉〈下〉/安里アサト

86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉 (電撃文庫)

86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉 (電撃文庫)

 

あらすじ

 

共和国の指揮官・レーナとの非業の別れを経て、少年少女たちがたどり着いたのは、隣国ギアーテ連邦。

主人公・シンを含めた〈エイティシックス〉の面々は、連邦に保護されひと時の平穏を得るも、再び戦場に立つことを選ぶ。

そして、連邦軍に志願した彼らの傍らには、新しい仲間である、年端もない少女・フレデリカの姿があった。

 

彼らは、なぜ戦うのか。

何のために戦うのか。

 

そして、シンの異能によって予見された無人兵器〈レギオン〉の大攻勢は――?

 

――非業の別れから、一巻のラストに至るまでの、〈エイティシックス〉たちの戦いを描く上下巻!!

 

感想

 

祝☆2021年4月10日アニメ放送開始!!

TVアニメ「86―エイティシックス―」公式サイト

2021月3月時点で、本編が9巻まで発売中の「86―エイティシックス―(以下86)」のアニメが、いよいよ放送されるのですよ、奥さん。

アニメのストーリーは以前紹介した1巻部分なので、自分はアニメ見る方ではありませんが、今から楽しみです。

(笑顔)

 

 

kotobanohashi.hatenablog.com

 

 

というわけで、アニメから推し仲間増えろの願いを込めて、久しぶりにブログに手を付けました。

(キリッ)

 

見ての通り、86の二巻と三巻は、上下巻なのでまとめて紹介ですよ。

二巻と三巻の表紙が、くっつけると一つのイラストになるのが、個人的なプッシュポイントでござる。

 

86は、祖国から人の在り方を奪われた少年少女たち〈エイティシックス〉と、暴走する無人兵器〈レギオン〉との戦いの物語だ。

 

あらすじにもある通り、「ラン・スルー・ザ・バトルフロント」は、共和国での非業の別れから一巻のラストに至るまでの、〈エイティシックス〉たちの戦いの軌跡きせきである。

二巻では、ギアーテ連邦での〈エイティシックス〉たちの様子が、三巻では、〈レギオン〉大攻勢下での激戦が描かれている。

 

一巻ではあまり表に出ることのなかった主人公シンの内心が、二巻と三巻では丁寧につづられていて、自分としてはそこがオススメ!

 

ちなみに、86の一巻は末期戦でしたが、ライトノベルなのにライトが行方不明な重量級の戦場は、二・三巻でも健在です。

(真顔)

 

そして、一巻では駄作機だった主人公の乗機は、搭乗者とうじょうしゃクラッシャー(ガチ)にパワーアップ!

 

共和国の“有人式無人機”をモデルとした、多脚機甲兵器フェルドレスレギンレイヴ〉は、殺人的な高速機動(ただし紙装甲)が武器の、とてもピーキーな仕様である。

ただ、その性能を遺憾いかんなく発揮できる〈エイティシックス〉たちにとっては、〈レギンレイヴ〉は頼もしい乗機であり、高速機動が加わった戦闘描写の躍動感もマシマシになっております。

けれど、いかにパワーアップしようとも、〈レギンレイヴ〉は、ましになっただけのアルミの棺桶かんおけには変わりなく。

 

――〈エイティシックス〉たちの新たな戦場もまた、86区と同じく、死が当たり前のように転がる激戦場だ。

 

しかしながら、末期戦の中にも、子供らしいわちゃわちゃとか、砂糖一つまみとかが入っているのが86の良いところ!

特に、二・三巻での新たな仲間であり、キーパーソンでもある幼女・フレデリカと、シンに忠実な自立支援機であるファイドの、なごみ要員としての活躍を見ていただきたいですね。

(笑)

 

さて、一巻にて特別偵察と言う決死行の形で共和国から放逐ほうちくされた、〈エイティシックス〉たちがたどり着いたのは、隣国ギアーテ連邦

無人兵器〈レギオン〉を開発した帝国の後身たる連邦は、共和国よりましな大人がいる国で、86区よりもましな戦場がある国だ。

主人公であるシンたち〈エイティシックス〉の面々は、連邦に保護され、絶望的な戦場である86区にはなかった、一時の平穏を得られたのである。

 

しかしながら、〈エイティシックス〉たちの誇りは、ぬるま湯のような平和の中にはない。

 

86区での〈エイティシックス〉たちの誇り高さは、だが、連邦では異なる顔を見せる。戦いのみを自らのりどころとする〈エイティシックス〉の有様は、連邦の人間の目には、度し難い狂気と映ってしまっていた。

 

――確かに、86に登場する、エルンストやグレーテといった連邦の大人たちは、信頼するに足る人物だ。

けれども、共和国とは違うはずの正義や優しさが、〈エイティシックス〉たちにとってのおりや排斥につながるのは、いっそ皮肉である。

ただ、だからこそ、三巻での共和国とは違う連邦の戦場が、印象的でもありました。

 

また、連邦の〈エイティシックス〉たちへの接し方を通して、共和国で懸命けんめいに彼らを理解しようとしていたレーナの存在が、〈エイティシックス〉たちにとってどれほど得難いものかが、浮かび上がってもいる。

 

互いに離れた場所に在っても、ふとした拍子に思い浮かべるのは、彼女のこと。

 

二巻でも、三巻でも、〈エイティシックス〉同士の会話や、シンのモノローグの端々はしばしで、何気なく彼らの元指揮官が出てくるのが、とても好きなところです。

二・三巻は、連邦でのシンにフォーカスされた物語なので、共和国にいるレーナの出番は多くないのですが、彼女の存在感は全く薄れておらず、シンにとっての彼女の存在の大きさがそこかしこから伝わってきました。

(親指を立てながら)

 

そして、二・三巻では、シンのある種の危うさがあらわにもなります。

 

一巻で悲願を果たしたシン

だから、彼から欠けてしまったものがある。

 

戦場を共にしてきた仲間たちだけではなく、フレデリカも、彼女なりにシンに寄り添ってはいるのですが、彼の欠けを補うには至らない。

彼を案じる仲間たちやフレデリカの言葉が、シンの空虚に響かなかったことには、正直もどかしさを感じます。

 

三巻でのシンの心情は重苦しく、一巻ラストの保証があってもかなり心配になりましたが、――だからこそ、三巻後半が熱いし、見開きページのインパクトでかい。

 

彼女との再会までの、シンの心情の変遷へんせんと成長が、細やかな描写で表現されているところも、本当に好きですよ。

一巻ではどこか超然としていた姿を見せていた、死神シンの人間らしさとか、無自覚な想いとかが、めっちゃ刺さりました!!

 

86は、本編が進むにつれてのシンの成長がいちじるしいので、みんなも続きを読んでほしいです!!

(2021/3月時点で9巻まで発売中)

まだ感想書けておりませんが、特に六巻がオススメです!!!

(満面の笑みでサムズアップ)

 

 

 

 

 

読書メーターに登録したオススメ本の感想まとめ(2020年秋/女性向け)

やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中2 /永瀬 さらさ

 

やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中2【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)

ヒロインは騎士団に働きに、ヒーローはお家でスローライフしている二巻!!

 

 ジル姐さんは相変わらず男前だし、乙女な可愛らしさがあって素敵です!

 

そして、竜帝陛下のスローライフ満喫っぷりやら、通報案件やら、笑い過ぎて涙が出ました。

眺める分には面白いけれど、面倒くさいお嫁さんを幸せに出来るのは、やっぱりジル姐さんですね!

(笑)

また、シリアス場面を破壊する、鶏のソテーとくま陛下が頼もしく、更に笑いました。

 

正直、女神関連の愛が一周回ってホラーに感じましたが、ジル姐さんが格好良いので何とかなりそうな安心感でいっぱいです。

陛下を止めたジル姐さんの台詞が、幼女だけどイケメン感がありましたね。

(親指を立てながら)

 

一巻のコミカライズ版も発売中で、こっちもオススメ!

みんな可愛いですよ!!

(満面の笑み)

 

 

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました8/永瀬 さらさ

 

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました8【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)

続編キター! な八巻!!

 

Webにはなかった書下ろし完結編が読めて嬉しくて、やったね!! と思いました。

(親指を立てながら)

登場人物紹介からとばしてきて、もう笑いっぱなしでしたね!!

何というか、隠し子疑惑をさくっと奥様方に受け入れられている、魔王様と聖王様が不憫ふびんや。

(笑)

そして、シャルル君が思春期真っ盛り過ぎて、作成される黒歴史を親戚のオバチャンのような気持ちで見守っておりました。

エステラちゃんもですが、この親にしてこの子あり、という感じです。

 

アイリーン様が格好良くて素敵だったし、これまでの登場人物がしっかり活躍していて、これまでの集大成な展開でした。

個人的に、ヒロインになった彼女の内心を知ることができて、良かったと思います。

 

竜騎士のお気に入り8 奥様は異国の空を革新中/織川 あさぎ

 

竜騎士のお気に入り: 8 奥様は異国の空を革新中【特典SS付】 (一迅社文庫アイリス)

異国の竜の憂いを取り除くお手伝いをする八巻!

 

この作品は相変わらず竜が可愛い!!!

竜達の感情表現豊かな振る舞いと仕草に、ほっこりしていました。

イヴァルトでの、竜騎士と竜の関わり合い方も好きです。

そして、青の竜の海が怖くてジタバタしている場面や、抱えられている子竜のイラストがとっても可愛かったです!!

(満面の笑み)

 

また、竜と言葉を交わし、行動で示して、心を通わせていくところも好きですよ!

竜騎士に助けられた子竜が、自分の騎士を望む場面が素敵でした。

リュムディナでも竜に親しみを持っている人がいるので、竜騎士が誕生するのも、案外早いのかなと思いました。

 

あと、自分の手で道を切り開こうとしているカーヤ姫、かっこいいです。

ルイスと一緒に、末永くお幸せになってほしい!

 

平安後宮の薄紅姫 二 宮廷去りし皇后宮と伊勢物語/遠藤 遼

 

平安後宮の薄紅姫 二 宮廷去りし皇后宮と伊勢物語 (富士見L文庫)

伊勢物語」と共に、人の心を読み解く二巻!

 

薄紅うすべにの物語に対する考えと姿勢が、好きだな、と思いました。

そして、薄紅の物語への愛が、そこかしこからヒシヒシと感じられるところも素敵です!!

彼女のオタク思考には、色々と共感してしまいましたね。

(笑)

 

また、物語に裏付けされた薄紅の機転と洞察力が、随所ずいしょでキラリと光っていました。

彼女の物語愛が、物事を打破する力として発揮されているところが、この作品の魅力だと思います。

 

陰陽術のちょっとした不可思議もありますが、奉親が占で薄紅をサポートするだけではなく、義盛と共に雨の中頭を下げ続ける場面も良かったです。

 

物語によって、すれ違っていた中宮と皇后の心が通じ合うシーンに清々しさを感じましたが、それだけに、結びの3行がなおさら切ない。

2021/3/26更新
 

 

 

 

 

読書メーターに登録したオススメ本の感想まとめ(2020年秋)

Babel II 魔法大国からの断罪/古宮 九時

Babel II 魔法大国からの断罪 (電撃の新文芸)

異世界から迷い込んだ少女の旅路にて、明らかな異質に紛れ、通り過ぎていた謎が浮き彫りになる二巻!!

 

主人公であるしずくの武器は、折れない心とど根性、と思いました。

彼女の、たとえ非力であろうと自分を持ち続けて、手放さないところが好き。

雫は、ピンチもぶつかって跳ね返って、気合と機転で何とかセーフに滑り込む感じでドキドキです。

 

また、パワハラ上司(王様)とのやり取りは、ユーモラスで笑えました。

雫が王様にやられっぱなしじゃなくて、 自分なりにちくちくやり返しているのが良かったですよ。

 

そして、この物語は言葉の物語だと、随所ずいしょで印象付けられます。

乗り越えられない言葉の不自由さや、それによるやるせなさがあるからこそ、言葉を重ね分かり合う尊さや、人の意志の輝きが際立つ。

言葉に触れる一文一文が、どれも心に残ります。

 

丁寧に描かれていた伏線が、最後にぴたりとはまりつつも、ガツンときました。

 

12月に三巻が発売されるのが楽しみ!!!

 

 

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 /佐伯さん

 

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 (GA文庫)

お隣の天子様こと、まひるんが小悪魔化の三巻!!

 

普通に甘々だった前巻より砂糖が増量、でも、じれじれもだもだもマシマシですね。

だが、本当にそこが良い!!

(親指を立てながら満面の笑み)

あまね君のヘタレ具合は、まひるん、十分ぐいぐい押せ押せだけどもっと頑張って!!と、応援したくなるくらいでした。

(半笑い)

でも、無自覚で殺し文句をナチュラルに言ってのける彼は、間違いなく主人公だと思います。

(真顔)

自然体で女の子を大切にする周が素敵です。

周君のおかげで、まひるんの可愛いイラストがいっぱいでした。

 

また、周の周囲の変化に対する、まひるんの反応が本当に可愛い。

もう、周に傷を付けた奴は、まひるんと周が垂れ流す砂糖の塊に殴り倒されれば良いと思うよ。

 

デッド・エンド・リローデッド 2 ―不倶戴天のトゥーム・レイダー― /オギャ本バブ美

 

【電子版限定特典付き】デッド・エンド・リローデッド 2-不倶戴天のトゥーム・レイダー- (HJ文庫)

繰り返す【過去】を乗り越え辿り着いた【今】にて、新たな戦いが始まる二巻!!

 

かつての仲間や仇敵と、新たな登場人物達が加わり、様々な思惑が絡まり合うストーリーが熱いです。

契那けいなさんに、包容力だけではなく小悪魔感までプラスされ、本当にこの十一歳? と思ってしました。

(笑)

あと、老け顔の夕陽は戦闘員としては優秀でも、まだ成人してない若人わこうど――って言うか、小学生かお前っ?! とツッコミをいれたくなりましたね。

(半笑い)

 

混沌とした街での激しい攻防や、夕陽の過去や葬儀社を掘り下げたり、新たな謎が浮かび上がったりと、見どころが色々ありました。

新キャラ達が、それぞれ個性が強くて魅力的です。

 

三巻での戦いが楽しみです!

 

竜と祭礼3 ―神の諸形態― /筑紫一明

 

竜と祭礼3 ―神の諸形態― (GA文庫)

雪のように深々と降り積もる人々の想いと、ひっそりと歴史に埋もれた伝承が交差する三巻。

 

繰り返す季節は、しかし、同じ日々が戻る事なく、世界は確実に変化していく。

冬のかごの中で、緩やかに変動するものが琴線に触れてきます。

新キャラさんがなかなか愉快な方で、ともすれば静謐せいひつに沈むストーリーににぎやかな彩りを添えていました。

 

そして、そっと存在を主張する亡霊よりも、毒を薬と定義付け、自分ではない誰かに飲み干させる事に対する自覚のない、聖職者の『正しさ』に薄ら寒さを感じた。

また、押し付けられた思惑をひっくり返す、ユーイが得た強かさを、彼女の成長と言祝ことほぐには、どこか痛ましさがありました。

 

願わくは、雪解けの後に現れるものがむくろではなく、花々の芽吹きであるように。

 

異修羅III 絶息無声禍/珪素

 

異修羅III 絶息無声禍 (電撃の新文芸)

遂に勇者を決める戦いが始まる三巻!!

 

 新たに現れる修羅と、絡み合う思惑が熱く、あっちこっちでどんでん返しが繰り返される展開は先が読めなくて、もうページをめくっていくしかありません!!

 

 その一端が明らかにされた、未だ残り続ける"本物の魔王"の呪いとその謎に、ゾワッとしました。

そして、"本物の勇者"の手掛かりは、魔王のそれよりなお遠い。

 

最強と最強の戦いでは、諸々もろもろがぶつかり合い、その結末は、清々しさと苦さが混じり合う。

第二試合では、少女の様なルクノカの態度と対照的な、ハルゲントの叫びが切なかった。

 

 様々な登場人物と感情をごった煮にした感、本当に好きです!!

 

ドラキュラやきん!/和ヶ原 聡司

 

ドラキュラやきん! (電撃文庫)

現代の吸血鬼が働くのは、コンビニ夜勤?!

 

ドラキュラがコンビニの夜勤で頑張る、ゆるいほのぼの日常系かと思いきや、働く日常の他にもバトルや捜査の要素があって面白かった!!

 虎木の地に足が着いている感と、都会の闇の中で魑魅魍魎ちみもうりょう跋扈ばっこしている世界観とのギャップが魅力的。

 吸血鬼である主人公虎木の、現代日本への適応の工夫や、意外なドーピング等、しっかりとした設定の上にたつストーリーが良いと思います。

きっちりと世界観が作り込まれているので、物語に入り込みやすくてとても良い!

 

出来る女子になれないポンコツシスターや、何気に過激な大和撫子と、ヒロイン達も可愛いし頼りになります。

 

 虎木のルート分岐がどうなるのか、続きが楽しみな新作でした!!

 

魔女と猟犬 /カミツキレイニー

 

魔女と猟犬 (ガガガ文庫)

御伽話おとぎばなしと魔法が入り混じる世界で、猟犬は戦争の為に魔女を集める!!

 

アートな表紙に惹かれて購入し、御伽話の残酷さがき出しになった、しかし、童話の柔らかさを含むストーリーと世界観が刺さりました!

イラストも素敵です。

割と容赦の無いダークファンタジーの随所に、有名な御伽話のモチーフが散りばめられて、物語の展開にどう絡み合っていくのかワクワクしました!!

(親指を立てながら)

 

そして、犬が猟犬に変わる様が、鮮やかで秀逸と感じると同時に切ない。

単純なめでたしめでたしで終わらない、残酷な御伽話めいた雰囲気がこの作品の魅力だと思います。

また、血塗られた幕が降りたとしても、身分違いの恋物語を照らした夕焼けは、ひどく優しいものでした。

 

 次巻が楽しみな新シリーズです!!

 

セブンス 10 /三嶋与夢

 

セブンス 10 (ヒーロー文庫)

国盗りの資金調達のため、大富豪の娘を口説け?!

 

とにかく、らいえるサンのフィーバータイムが最高すぎる!!!

(笑)

フィーバー時、相変わらずのテンションの高さと自信満々具合にめっちゃ笑いました!

ライエル、普段も普段でポンコツなところがありますが、そこからのギャップでなおさらフィーバータイムが笑える!!

 

あと、セブンスでは、ご先祖様達の行いが、次の世代にきちんと繋がっているところが好きです。

今作では、ファインズとフレドリクスのエピソードが印象に残りました。

 

個性的なハーレムメンバーズが、可愛かったりドタバタしていたりするところも良い。

ハーレムズのやり取りに、五代目が怯えていたところも笑えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更新2021/3/26

LINEノベルサービス終了についての雑感とLINE文庫エッジオススメ本紹介

2020年7月8日に発表された、LINEノベルサービス終了に衝撃を受けたので、ちょっとブログに雑感を書きなぐったしだいです。

 

まず、LINEノベルってなんぞやっていうと、2019年8月からLINEが運営しているWeb小説投稿サイトでした。

ついでにぶっちゃけると、自分はLINEノベルに手を出さないうちにサービス終了のお知らせと相成あいなりました。

(頭をかきかき)

 

――で、なんで別に自分が利用していないLINEノベルサービス終了に衝撃を受けたかと言うと。

 

面 白 か っ た ラ ノ ベ の 続 刊 が で な い か ら 。

(ガーン)

 

LINE文庫エッジという、LINEノベルのラノベレーベルがございまして、そこで作品を出版していた作家様のTwitterアカウントが情報源でございます。

具体的に言うと「ワトソン・ザ・リッパー~さる名探偵助手の誰にも話せない過去~」のSOW先生。

 

 

――なんでだよ、続刊楽しみにしてたのにっ?!!!

(地面をどんどんたたきながら)

 

……いや、わかってますよ、現ナマ大事な資本主義社会が世知辛せちがらいことなんて。

売上なければ、サクッと打ち切りなのが出版業界だし、ラノベレーベル結構はかないし、実際、扇友太おうぎゆうた先生の「人魔調停局 捜査File」シリーズ続き待ってるのに、レーベルのNOVELノベル ZEROゼロ自体結構前から動いてないし……。

(部屋のすみっこでひざを抱えつつ)

 

 

竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL 0)

竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL 0)

 

 

 

でも、面白いと思った物語の続きが読めないのは悲しいし、そもそも、自分が感想書いたりブログ作ったりして押しを全力プッシュするようになったのは、楽しみに待っていても勝手に続刊が歩いてくれないってさとったからなのよね、うふふふ……。

うつろな目)

 

ラノベ新刊情報こまめにチェックしておりますが、毎月自分が読み切れない数が刊行されていて、店頭の新刊のたなの入れ替わり早いし、ネットだって、自分のしがあっという間に他の作品の宣伝で埋もれてしまうのでござる

これじゃあ、推し仲間候補にオススメ本の情報が届かないのも当たり前ですわ。

――うん、仕方がないね、ぐぬぬぬぬ。

(歯ぎしり)

 

まあ、背景/海藻かいそう役でくねくねおどっているような一個人の影響力なんてたかが知れますが、『続刊が出ない~(怨念おんねん)』等、作者様に対して理不尽りふじんな感情をため込むよりは、推しへの愛を書き殴っている方が自分の精神衛生的に良いのです。

(キリッ)

 

それから、お店に目当ての本がないって場合は、e-honとかhontoとかの書籍系通販サイトの店舗受け取りサービスがおすすめですぞ~。

店舗受け取りサービスは、そのまんま通販で注文した商品を提携店舗で受け取れるサービスで、自分の場合は、e-honが地元の本屋さんと提携していらっしゃいました。

本の注文のために、店員さんに話しかけるのがずかしいとか思わずに済むし、何より送料無料なのだっ!!

(ど~ん)

 

もちろん、店舗受け取りサービス自体は、TSUTAYAとかアニメイトとか他の通販サイトでもありますが、e-honとhontoは、欲しい本はいね~が~、と探し回った時に実際在庫があったので、自分の信頼感が高いのです。

(親指を立てつつ)

 

オンライン書店e-hon : 本 コミック 雑誌 通販

本の通販ストア - 本、雑誌の通販ならhonto

 

……前に見かけた節約術で、本買うぐらいなら図書館使えとか、書籍代が無駄遣むだづかい扱いだったのですが、自分にとっては違うんだ、推しの続刊読むための投資なんだ~~~~っ!!!

(夕陽に向かって大声)

 

そして、LINE文庫エッジのオススメ本は、こちらの二作品ですっ!!!

(遅筆のため簡略版)

 

ワトソン・ザ・リッパー~さる名探偵助手の誰にも話せない過去~/SOW

 

 

 

あらすじ

 

十九世紀、大英帝国の首都・ロンドン。

カトリックの若き神父、ジェイムズ・H・オーランドは、ヴァチカンより与えられた任務のため、ロンドンをにぎわす殺人鬼『切り裂きジャック』に狙われる少女の警護に当たることなる。

簡単な任務であったはずが、異能の悪魔の出現や謎の蒸気甲冑かっちゅう襲撃しゅうげきにより、事態は予想不可能な展開に至り――。

 

――きりと蒸気に包まれ、闇と怪奇が息づく街で、新たな名探偵『助手』の物語が幕を開ける。

 

感想

 

使い古された感のある名探偵と切り裂き魔の設定に、怪奇をからめて新たにつむぎ出された作品。

タイトル通りに、さる名探偵助手が主人公な伝奇小説。

複雑な身の上ながら、誰かのために熱くなれる主人公、好きですよ。

そして、様々な作品に登場してきた、名探偵と切り裂き魔が陳腐化ちんぷかしておらず、とても面白いっ!!

十九世紀の時代背景やロンドンの様子が、丁寧ていねいに描写されていて、物語にすんなりと入り込むことができました。

探偵につきものの推理要素もちゃんとあって、そこも良かったですよ~。

 

 

 

勇者の君ともう一度ここから。/みかみてれん

 

 

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)
 

 

あらすじ

 

命と引き換えに世界を救った勇者、セラフィルナ。

かつては勇者の仲間であったが、世界を救う旅から逃げ出した後悔にさいなまれる隻腕せきわんの青年、ジャン。

そんなジャンの前に現れた王都からの使者は、彼に勇者が生きていると告げた。

 

――救われなかった少女と共に幸せをつかむため、あきらめかけていた青年は、もう一度ここから歩き出す。

 

感想

 

一度は心が折れ、諦めかけていた青年が、愛する少女を救うために立ち上がる姿が良いっ!!

他の人間なら望みを投げ出しそうな、重量級な諸々もろもろをガスガス投げつけてくるハードな展開ですが、主人公・ジャンの熱いハートや周囲の支えで、ハッピーエンドを信じられました。

セラフィルナが諦めて手放してしまったものを、ジャンがどんな困難にも耐え抜き我武者羅がむしゃらにかき集める様が、胸にじんときましたね。

 

 

 

ちなみに、LINE文庫エッジより刊行されている別の作者様情報によりますと、紙の書籍は現状の市場在庫をもって終了となるそうなので、紙の書籍派の方はお早めにご購入をどうぞ~、面白いからっ!!

(泣)

 

aramotokei.hatenablog.com

 

でも、サラッとっ見かけた感じでは、電子書籍はしばらく大丈夫そうだから、そっちで読むのも良いかもっ!!

(歯をキラリ)

 

 

 
 

Babel Ⅰ 少女は言葉の旅に出る/古宮九時

Babel I 少女は言葉の旅に出る

あらすじ

 

女子大学生の水瀬みなせしずくは、突如遭遇そうぐうした穴により、現代日本から異世界に迷い込んでしまう。

意味も分からず剣と魔法が常識の世界に放り出された彼女は、途方に暮れるも、風変わりな魔法士・エリクと偶然出会う。

魔法文字を研究するエリクは、雫が知る日本の文字に興味を持ち、その知識と引き換えに、彼女の手助けを提案する。

そして雫は、エリクの提案を受け入れ、日本に帰還する手掛かりを探すべく、彼と共に魔法大国ファルサスへ旅立つのであった。

 

その旅路にあるのは、不条理で不可思議な謎と、人と言葉の物語。

 

――少女と魔法士の旅立ちが、大陸の変革の始まりになることなど、彼らはまだ知らない。

 

感想

 

祝☆「Babel Ⅰ 少女は言葉の旅に出る」(以下Babel)&「Unnamed Memory Ⅴ」(以下UM)同時刊行!!

電撃文庫で出ていた好きなWeb小説が、電撃の新文芸でリブートしましたぜっ!!

Babel三巻あたりで、好きなキャラクターであるオルティア様のイラストが拝見できそうなので、今から楽しみにしておりました。

(キリッ)

そして、Babelと同じ世界観であるUMの最新刊も、同時刊行されているから超うれしいっ!!!

 

古宮先生、頑張がんばって下さりありがとうございます!!!

(満面の笑顔)

 

さて、前述のとおり、Babelは、電撃の新文芸で先に刊行されているUMの姉妹作であり、UMの三百年後の世界が舞台となっている。

UMの三百年後も、剣と魔法の世界であるのは変わらず、しかし、異世界人である雫という異物が、世界の根底に沈んでいた謎を浮かび上がらせることとなる。

 

UMも大好きなので、まだ読んでいない人に猛プッシュしたいし、ブログでUMの感想も書いてますっ!

 

kotobanohashi.hatenablog.com

 

 ちなみに、UMの王と魔女コンビは作中屈指の戦闘力がありましたので、武力で解決なある意味安定の安心感がありましたが、Babelの二人は研究者系で武力権力の安心がないせいか、とにかく危なっかしい印象を受けますね。

(半笑い)

 

まあ、UMは王道の安定感が良いですが、BabelはUMにはないハラハラドキドキが売りだと思いますっ!

 

そして、Babelの雫とエリクは、非力でありそれを自覚しているゆえに、二人とも、自分ができることを一つ一つ積み上げていて、そこが彼らの好きなところでもあります。

独りで何でもできる訳ではないから誰かの手を借りて、そこで出来たつながりがまた先の力になるところが、Babel(Web版)の魅力みりょくの一つだったので、是非ぜひとも書籍でも読みたいですっ!

(必死)

 

それから、現代日本人である雫を通し、異世界旅行を疑似体験できるのもBabelの魅力です。

雫は、普通の女子大生らしく、突然の異世界転移に混乱する描写もありますが、混乱のままに自分のからに閉じこもらずに、異世界に適応しようとする図太さも持ち合わせております。

そんな雫は、異世界の景色に感動したり、異世界の道具に歓声を上げたりと、彼女なりに異世界道中を楽しみ、エリクに教わりながら異世界の常識を学んでいきます。

一方のエリクも、雫から言葉(日本語・英語・ドイツ語)を学んだり、雫の現代日本式ボケに突っ込んだりと、異世界文化交流的な場面を楽しむこともできるのです。

 

何も知らない雫と共に、彼女が迷い込んだ世界を少しずつ知っていく面白さが、Babelの良さだと思います。

 

――しかしながら、楽しいだけの異世界旅行ではないところが、Babelの物語に深みを付け加えている。

 

UMから三百年後でも、Babelの世界は、現代日本よりもはるかに命が呆気あっけなくうしなわれる。

大陸から戦争の火は消えず、人の血肉をまきにする禁呪が不穏をまき散らす。

平和な日本で生まれ育った雫も、異世界る以上、大陸の殺伐さつばつとした現実と向き合わざるを得ないのだ。

それでも彼女は、異世界の理論に安易に染まらずに、自分としてあり続けようと努力する。

 

まだBabelを知らない方にも、旅路での雫の成長を見守って欲しい。

 

――また、Babelは、言葉にまつわる物語。

 

少女と魔法士の旅の随所ずいしょひそむ世界の謎の行方ゆくえを、書籍版でも見届けたいです!!!

続刊はよっ!!!!!

(ゴロゴロ地面を転がりながら)

 

 

追記2020/11/13

二巻発売中!!

12月には三巻発売です!!

 

魔人少女と孤独の騎士/三月ふゆ(既刊三巻)

魔神少女と孤独の騎士 1 (ヒーロー文庫)

あらすじ

 

気が弱く、クラスで孤立している主人公・篠原しのはら七子ななこは、ひょんなことから、活発な同級生・瑞樹優花みずきゆうかに秘密にしていたノートを貸し出した。

そして翌日、そのノートがクラスで回し読みされ、ショックを受けた七子は図書室へと逃げ込み、そこで不思議な本と出合う。

 

――言葉を話す、黒い本。

 

七子は奇怪なその本に取り込まれ、気がつけば暗い森の中に放り出されていた。

見知らぬ森を彷徨さまよっていた七子は、血塗れの騎士と遭遇そうぐうし、――彼を「眷属けんぞく」へと変えたのであった。

 

怪奇かいきと幻想が入り混じる残酷な世界で、魔神と化した少女は、いびつな主従関係を結んだ騎士とともに歩き出す。

 

感想

Web小説で好きだった作者様の書籍化作品。

「魔神少女と孤独の騎士」(以下「魔神少女」)はWeb版からブラッシュアップされていて、面白さがマシマシです!!

 

さて、「魔神少女」は、怪奇とファンタジーが混ざり合う独特の世界観が魅力の、少女の成長物語だ。

ただ、世界観も展開もガッツリダークなので、好みが分かれます!

 

Web小説あるあるの俺TUEEEの爽快感そうかいかんやら、俺SUGEEEの主人公ヨイショとか期待しないで、ほんとにないっす。

 

主人公、魔神ということで、物語の中では圧倒的強者に分類されるのですが、内気なコミュ障なせいで、常に全方位にびくついている感じなのよねぇ。

(苦笑)

その上、七子が迷い込む異世界の価値観は、魔女狩り真っ盛りの中世系だし、登場人物への仕打ちが中々にえぐい

「魔神少女」は、他者への想像に欠けた悪意と変わらぬ善意や、正義の皮をかぶった狂気が引き起こす凶行など、人間のどす黒い醜悪しゅうあくさがきっちりと描かれ、作品に暗い色合いをえているのである。

 

――だからこそ、少しずつでも変わろうとする主人公の姿や、誰かへ向けられた願いや愛情、伸ばされた手の尊さが一層際立っているのですが。

 

そして、「魔神少女」は、一巻から三巻までが一つの流れになっているので、三巻まで読んで欲しいのっ!!

 

とりあえず、骨太ダークファンタジー馴染なじみがない方に言いたいのは、二巻でタヌキが登場するまでがんばれっっっ!!!!

(満面の笑みでサムズアップ)

 

可愛いタヌキは、ダークファンタジーにほのぼのといやしをぶっこむ救世主でしたっ!!

 

閑話休題

 

主人公・七子は、重度のコミュ障かつ内罰的な思考をする子で、ぶっちゃけ少年漫画とかのヒーローヒロインとは正反対なキャラクター

自分を肯定することができず、何かあると全力で後ろ向きな方向に突っ走ってしまうので、結構好き嫌いが分かれる女の子だと思います。

しかしながら七子は、はからずも魔神じぶんの「眷属」へと変えたエリアスの存在をきっかけに、自分の至らない部分に目を向け、自分から変わろうと努力する子でもあるのです。

 

……まあ、エリアスがいなければ、七子はナチュラルに詰んでいる感じだったので、出会えてよかったね二人ともっ!!

 

当初がどん底だっただけに、三巻での七子の成長ぶりには、こんなに立派になっちゃってとか、親戚しんせきのおばちゃん的な心境になりましたね

一・二巻は重苦しい展開が続きますが、その分、三巻は感動で泣ける場面が多く、ティッシュ片手に読みました。

(ガチ)

 

また、「魔神少女」に登場する様々な人物たちは、良くも悪くも人間的で、かなり強烈なキャラも混じっております。

特にキャサリン団長。

「魔神少女」の世界では、絶対的な善も絶対的な悪もなく、各々、それぞれの立場やそれぞれの考え方で行動しているところが、物語に深みを与えていると感じました。

個人的には、春の女王と、心折れかけでも踏みとどまる皇太子の親子も好きです。

二巻での彼らのやり取りは本当に泣いて、何度読み返してもティッシュが必要になります。

そして、タヌキが本当に可愛い

真面目にツボったので、あのタヌキのぬいぐるみが売っていたら欲しいんですけど!

 

それから、七子の異世界成長記だけではない、怪奇によって元の世界と異世界が交差するストーリーも面白く、随所ずいしょに散らばる謎が三巻できれいに収束していくところもよかったです。

 

「魔神少女」は、三巻まで読んで一・二巻がさらに輝く感じなので、ダークな展開にめげずに三巻まで読んでいただきたいっ!!

(キリッ)

 

あと、「魔神少女」は四巻も出るそうです、やったね!

四巻が出る前に、みんな読んでみて~っ!!!

 

 

七つの魔剣が支配する/宇野朴人

七つの魔剣が支配する (電撃文庫)

あらすじ

名門キンバリー魔法学校の春。

今年もやってきた新入生たちを迎え入れるのは、満開の桜が舞う街道と魔法生物たちのパレード。

 

魔法使いの卵たちが希望に胸を躍らせるのも束の間、とある事件に巻き込まれる形で彼らは出会う。

 

面倒見が良いけれど、笑いのセンスはビミョウな主人公、オリバー

動物好きで、正義感と負けん気の強い心優しき少女、カティ

実家は魔法農家、明るく気さくなムービーメーカー的存在であるガイ

普通人の家庭出身であり、勤勉で実直な性格のピート

旧家の血を引き、誇り高くも他者を認めることができるシェラ

――そして、東方からやってきたサムライ少女、ナナオ

 

『好きにやって好きに死ね』

(本文より)

 

卒業までに約二割の生徒が命を落とす、魔窟キンバリー脅威きょういは、新入生へも平等におそい掛かる。

生徒を飲み込む地下迷宮や怪物めいた上級生、亜人を巡る派閥の対立などの荒波を乗り越えながら、六人は少しずつきずなを深めていき――。

 

――そしてまた、密やかに始まるものが。

 

感想

祝☆「このライトノベルがすごい!2020」(以下「このラノ2020」)、文庫部門第一位!!

[rakuten:book:19808804:detail]

宇野先生の前作である、「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンの最終巻に一部掲載されるという、斬新ざんしんな宣伝で追っかけだしたシリーズ!!

このラノ2020」、「七つの魔剣が支配する」(以下「ななつま」)だけでなく、「Unnamed Memory」が単行本・ノベルズ部門第一位になったりと、押しのラノベが色々ランクインとか紹介されていたりしていて、チョー嬉しいっ!!

(満面の笑み)

 

さて、「ななつま」は、名門の魔法学園を舞台にしたダークファンタジーだ。

魔法学園と言えば、世界的に有名な某作品がありますが、それに負けない独自色を出しているのが、宇野先生のすごいところ。

 

本作品のキーワードの一つが、一足一杖

――それは、呪文が意味を失い、刃の応酬が取って代わる間合いである。

 

主人公・オリバーとヒロイン・ナナオが、ガチで切り結ぶ表紙のイラストの通り、「ななつま」では、戦闘において、魔法だけではなく剣――杖剣じょうけんが重要な要素となる。

答えは簡単。

 

ある間合いより内側では、呪文を唱えるより、剣で斬る方が早いから。

 

身もふたもない結論ですが、確かに現実的で、「ななつま」にリアリティを与えると同時に、ヒロイン・ナナオの個性を光らせる設定でもあります。

 

東方出身のサムライ少女であるナナオは、刀に熟達し、魔法使いとしての天与の才も有している。

生粋の武人である彼女は、戦闘においては頼もしいの一言だ。

しかしながら、戦国時代真っ盛りな彼女の故郷の苛烈かれつは、ナナオの心にぬぐがたい影を落としている。

 

――復讐の剣は愉しからず、相愛の剣こそ愉しけれ。

(本文より)

 

ぶっちゃけると、ナナオは『殺し愛』系ヒロインです。

敵でもないのに、むしろ尊敬できる仲間なのに、明るく無邪気に『殺し愛しようね(は~と)』って、主人公にお誘い仕掛ける子、初めて見たわ……。

 

敬愛する相手と、どちらかが死ぬまで斬り合う仕合せ。

過酷な世界で生きていたナナオには、それは求められるだけでも幸いなもので、非常に根深いものがある。

 

その育ちのせいか、思考や振るまいが武人であるナナオも、オリバーに即行で振られてヤケになったところは、乙女だと思いました。

 

突出した剣技の一方、馴染みがなかったせいで、魔法はまだまだ未熟なナナオとは対照的に、オリバーの戦い方は、よく言えばいぶし銀で、悪く言えば器用貧乏。

ナナオとの共闘の場面では、彼女を絶妙なフォローで手助けもしている。

オリバーとナナオは、互いを補い合うような関係になっているのに、なんで『殺し愛』に向かうんだナナオちゃん……。

『殺し愛』に関しては、ナナオが悪い訳ではないのが悩ましい。

 

ちなみに、オリバーの器用貧乏ぶりは、面倒見の良さから日常生活でも発揮されており、オリバー自身の成果ではなく、誰かのフォローで彼が評価されるという。

でも、お笑いに関してはその器用さを発揮できないオリバー、ふびん。

そんな優等生的なオリバーであるが、あるいは仲間の中で誰よりも魔法使いらしいのかもしれない。

 

「ななつま」の世界において、魔法とは、夢の国のキラキラした不可思議ではなく、『魔』の法である。

それを体現したような魔境であるキンバリーは、教師も生徒もキャラが濃い奴ばっかりな上に、諸々の意味でぶっ飛んでいるのが多過ぎ。

文字通り弱肉強食な校風ゆえの名門からか、キンバリーでは、通常の倫理感を維持するだけでも大変だ。

 

――『優しさ』は、それ以上に。

キンバリーの亜人に対する風潮にぶつかっていくカティのエピソードでは、カティへ語られたオリバーの台詞が印象的だ。

『優しくあることが厳しい世界で』、優しさを抱えて歩いていく尊さ。

 

オリバーやナナオだけでなく、彼らの仲間たちは皆、魅力的なのである。

特にシェラさんは、新入生にもかかわらず、すでにいい女だと思います。

そして、いい女過ぎて、シェラさんの意思とは無関係に、彼女に近しい人間の劣等感を刺激してしまう描写にも、リアリティを感じました。

魔法世界の縮図のようなキンバリーと、個性豊かな登場人物たちが生き生きと描かれているところが、「ななつま」の好きな部分です。

 

また、巻末のどんでん返しに、タイトルが絡めてあるのがすごく良いっ!!

冒頭の不穏はそこへ行きつくのかと、意表を突かれました!

 

――過酷ながらも時にきらめく学園生活と、密やかに始まりを告げた暗闇の物語。

七つの魔剣やつちかう絆が、彼らをどこへ導くのか、続きが楽しみです!!!

 

追記2020/11/13

六巻&コミカライズ発売中!!