詞乃端のオススメ本感想書き殴り+α

オススメ本の感想を書き殴りたい+宣伝したいの精神で作ってみたブログ。気が向けば他の事も書く予定。

86―エイティシックス―Ep.2&Ep.3 -ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉〈下〉/安里アサト

86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉 (電撃文庫)

86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉 (電撃文庫)

 

あらすじ

 

共和国の指揮官・レーナとの非業の別れを経て、少年少女たちがたどり着いたのは、隣国ギアーテ連邦。

主人公・シンを含めた〈エイティシックス〉の面々は、連邦に保護されひと時の平穏を得るも、再び戦場に立つことを選ぶ。

そして、連邦軍に志願した彼らの傍らには、新しい仲間である、年端もない少女・フレデリカの姿があった。

 

彼らは、なぜ戦うのか。

何のために戦うのか。

 

そして、シンの異能によって予見された無人兵器〈レギオン〉の大攻勢は――?

 

――非業の別れから、一巻のラストに至るまでの、〈エイティシックス〉たちの戦いを描く上下巻!!

 

感想

 

祝☆2021年4月10日アニメ放送開始!!

TVアニメ「86―エイティシックス―」公式サイト

2021月3月時点で、本編が9巻まで発売中の「86―エイティシックス―(以下86)」のアニメが、いよいよ放送されるのですよ、奥さん。

アニメのストーリーは以前紹介した1巻部分なので、自分はアニメ見る方ではありませんが、今から楽しみです。

(笑顔)

 

 

kotobanohashi.hatenablog.com

 

 

というわけで、アニメから推し仲間増えろの願いを込めて、久しぶりにブログに手を付けました。

(キリッ)

 

見ての通り、86の二巻と三巻は、上下巻なのでまとめて紹介ですよ。

二巻と三巻の表紙が、くっつけると一つのイラストになるのが、個人的なプッシュポイントでござる。

 

86は、祖国から人の在り方を奪われた少年少女たち〈エイティシックス〉と、暴走する無人兵器〈レギオン〉との戦いの物語だ。

 

あらすじにもある通り、「ラン・スルー・ザ・バトルフロント」は、共和国での非業の別れから一巻のラストに至るまでの、〈エイティシックス〉たちの戦いの軌跡きせきである。

二巻では、ギアーテ連邦での〈エイティシックス〉たちの様子が、三巻では、〈レギオン〉大攻勢下での激戦が描かれている。

 

一巻ではあまり表に出ることのなかった主人公シンの内心が、二巻と三巻では丁寧につづられていて、自分としてはそこがオススメ!

 

ちなみに、86の一巻は末期戦でしたが、ライトノベルなのにライトが行方不明な重量級の戦場は、二・三巻でも健在です。

(真顔)

 

そして、一巻では駄作機だった主人公の乗機は、搭乗者とうじょうしゃクラッシャー(ガチ)にパワーアップ!

 

共和国の“有人式無人機”をモデルとした、多脚機甲兵器フェルドレスレギンレイヴ〉は、殺人的な高速機動(ただし紙装甲)が武器の、とてもピーキーな仕様である。

ただ、その性能を遺憾いかんなく発揮できる〈エイティシックス〉たちにとっては、〈レギンレイヴ〉は頼もしい乗機であり、高速機動が加わった戦闘描写の躍動感もマシマシになっております。

けれど、いかにパワーアップしようとも、〈レギンレイヴ〉は、ましになっただけのアルミの棺桶かんおけには変わりなく。

 

――〈エイティシックス〉たちの新たな戦場もまた、86区と同じく、死が当たり前のように転がる激戦場だ。

 

しかしながら、末期戦の中にも、子供らしいわちゃわちゃとか、砂糖一つまみとかが入っているのが86の良いところ!

特に、二・三巻での新たな仲間であり、キーパーソンでもある幼女・フレデリカと、シンに忠実な自立支援機であるファイドの、なごみ要員としての活躍を見ていただきたいですね。

(笑)

 

さて、一巻にて特別偵察と言う決死行の形で共和国から放逐ほうちくされた、〈エイティシックス〉たちがたどり着いたのは、隣国ギアーテ連邦

無人兵器〈レギオン〉を開発した帝国の後身たる連邦は、共和国よりましな大人がいる国で、86区よりもましな戦場がある国だ。

主人公であるシンたち〈エイティシックス〉の面々は、連邦に保護され、絶望的な戦場である86区にはなかった、一時の平穏を得られたのである。

 

しかしながら、〈エイティシックス〉たちの誇りは、ぬるま湯のような平和の中にはない。

 

86区での〈エイティシックス〉たちの誇り高さは、だが、連邦では異なる顔を見せる。戦いのみを自らのりどころとする〈エイティシックス〉の有様は、連邦の人間の目には、度し難い狂気と映ってしまっていた。

 

――確かに、86に登場する、エルンストやグレーテといった連邦の大人たちは、信頼するに足る人物だ。

けれども、共和国とは違うはずの正義や優しさが、〈エイティシックス〉たちにとってのおりや排斥につながるのは、いっそ皮肉である。

ただ、だからこそ、三巻での共和国とは違う連邦の戦場が、印象的でもありました。

 

また、連邦の〈エイティシックス〉たちへの接し方を通して、共和国で懸命けんめいに彼らを理解しようとしていたレーナの存在が、〈エイティシックス〉たちにとってどれほど得難いものかが、浮かび上がってもいる。

 

互いに離れた場所に在っても、ふとした拍子に思い浮かべるのは、彼女のこと。

 

二巻でも、三巻でも、〈エイティシックス〉同士の会話や、シンのモノローグの端々はしばしで、何気なく彼らの元指揮官が出てくるのが、とても好きなところです。

二・三巻は、連邦でのシンにフォーカスされた物語なので、共和国にいるレーナの出番は多くないのですが、彼女の存在感は全く薄れておらず、シンにとっての彼女の存在の大きさがそこかしこから伝わってきました。

(親指を立てながら)

 

そして、二・三巻では、シンのある種の危うさがあらわにもなります。

 

一巻で悲願を果たしたシン

だから、彼から欠けてしまったものがある。

 

戦場を共にしてきた仲間たちだけではなく、フレデリカも、彼女なりにシンに寄り添ってはいるのですが、彼の欠けを補うには至らない。

彼を案じる仲間たちやフレデリカの言葉が、シンの空虚に響かなかったことには、正直もどかしさを感じます。

 

三巻でのシンの心情は重苦しく、一巻ラストの保証があってもかなり心配になりましたが、――だからこそ、三巻後半が熱いし、見開きページのインパクトでかい。

 

彼女との再会までの、シンの心情の変遷へんせんと成長が、細やかな描写で表現されているところも、本当に好きですよ。

一巻ではどこか超然としていた姿を見せていた、死神シンの人間らしさとか、無自覚な想いとかが、めっちゃ刺さりました!!

 

86は、本編が進むにつれてのシンの成長がいちじるしいので、みんなも続きを読んでほしいです!!

(2021/3月時点で9巻まで発売中)

まだ感想書けておりませんが、特に六巻がオススメです!!!

(満面の笑みでサムズアップ)