詞乃端のオススメ本感想書き殴り+α

オススメ本の感想を書き殴りたい+宣伝したいの精神で作ってみたブログ。気が向けば他の事も書く予定。

魔人少女と孤独の騎士/三月ふゆ(既刊三巻)

魔神少女と孤独の騎士 1 (ヒーロー文庫)

あらすじ

 

気が弱く、クラスで孤立している主人公・篠原しのはら七子ななこは、ひょんなことから、活発な同級生・瑞樹優花みずきゆうかに秘密にしていたノートを貸し出した。

そして翌日、そのノートがクラスで回し読みされ、ショックを受けた七子は図書室へと逃げ込み、そこで不思議な本と出合う。

 

――言葉を話す、黒い本。

 

七子は奇怪なその本に取り込まれ、気がつけば暗い森の中に放り出されていた。

見知らぬ森を彷徨さまよっていた七子は、血塗れの騎士と遭遇そうぐうし、――彼を「眷属けんぞく」へと変えたのであった。

 

怪奇かいきと幻想が入り混じる残酷な世界で、魔神と化した少女は、いびつな主従関係を結んだ騎士とともに歩き出す。

 

感想

Web小説で好きだった作者様の書籍化作品。

「魔神少女と孤独の騎士」(以下「魔神少女」)はWeb版からブラッシュアップされていて、面白さがマシマシです!!

 

さて、「魔神少女」は、怪奇とファンタジーが混ざり合う独特の世界観が魅力の、少女の成長物語だ。

ただ、世界観も展開もガッツリダークなので、好みが分かれます!

 

Web小説あるあるの俺TUEEEの爽快感そうかいかんやら、俺SUGEEEの主人公ヨイショとか期待しないで、ほんとにないっす。

 

主人公、魔神ということで、物語の中では圧倒的強者に分類されるのですが、内気なコミュ障なせいで、常に全方位にびくついている感じなのよねぇ。

(苦笑)

その上、七子が迷い込む異世界の価値観は、魔女狩り真っ盛りの中世系だし、登場人物への仕打ちが中々にえぐい

「魔神少女」は、他者への想像に欠けた悪意と変わらぬ善意や、正義の皮をかぶった狂気が引き起こす凶行など、人間のどす黒い醜悪しゅうあくさがきっちりと描かれ、作品に暗い色合いをえているのである。

 

――だからこそ、少しずつでも変わろうとする主人公の姿や、誰かへ向けられた願いや愛情、伸ばされた手の尊さが一層際立っているのですが。

 

そして、「魔神少女」は、一巻から三巻までが一つの流れになっているので、三巻まで読んで欲しいのっ!!

 

とりあえず、骨太ダークファンタジー馴染なじみがない方に言いたいのは、二巻でタヌキが登場するまでがんばれっっっ!!!!

(満面の笑みでサムズアップ)

 

可愛いタヌキは、ダークファンタジーにほのぼのといやしをぶっこむ救世主でしたっ!!

 

閑話休題

 

主人公・七子は、重度のコミュ障かつ内罰的な思考をする子で、ぶっちゃけ少年漫画とかのヒーローヒロインとは正反対なキャラクター

自分を肯定することができず、何かあると全力で後ろ向きな方向に突っ走ってしまうので、結構好き嫌いが分かれる女の子だと思います。

しかしながら七子は、はからずも魔神じぶんの「眷属」へと変えたエリアスの存在をきっかけに、自分の至らない部分に目を向け、自分から変わろうと努力する子でもあるのです。

 

……まあ、エリアスがいなければ、七子はナチュラルに詰んでいる感じだったので、出会えてよかったね二人ともっ!!

 

当初がどん底だっただけに、三巻での七子の成長ぶりには、こんなに立派になっちゃってとか、親戚しんせきのおばちゃん的な心境になりましたね

一・二巻は重苦しい展開が続きますが、その分、三巻は感動で泣ける場面が多く、ティッシュ片手に読みました。

(ガチ)

 

また、「魔神少女」に登場する様々な人物たちは、良くも悪くも人間的で、かなり強烈なキャラも混じっております。

特にキャサリン団長。

「魔神少女」の世界では、絶対的な善も絶対的な悪もなく、各々、それぞれの立場やそれぞれの考え方で行動しているところが、物語に深みを与えていると感じました。

個人的には、春の女王と、心折れかけでも踏みとどまる皇太子の親子も好きです。

二巻での彼らのやり取りは本当に泣いて、何度読み返してもティッシュが必要になります。

そして、タヌキが本当に可愛い

真面目にツボったので、あのタヌキのぬいぐるみが売っていたら欲しいんですけど!

 

それから、七子の異世界成長記だけではない、怪奇によって元の世界と異世界が交差するストーリーも面白く、随所ずいしょに散らばる謎が三巻できれいに収束していくところもよかったです。

 

「魔神少女」は、三巻まで読んで一・二巻がさらに輝く感じなので、ダークな展開にめげずに三巻まで読んでいただきたいっ!!

(キリッ)

 

あと、「魔神少女」は四巻も出るそうです、やったね!

四巻が出る前に、みんな読んでみて~っ!!!